片目のクジャクが燕尾服を手に入れて帰ってきた。
彼は僕をバスの待合室に呼びつける。
折り入って話があるのだと言う。
彼は僕に時間を尋ね、それからバスの時刻表をじっくりと確認してから、
ひそやかに話し始めた。
「僕はね。他人の目を気にしたいんだ。」
彼の目は誰もいない道路の向こう側に向けられている。
「他人の評価は気にしない!なんて言うとね、ずいぶんとストイックでかっこいい気がするけど、それじゃあ僕は楽しくないんだ。僕は他人の評価が気になるよ。すごくね。もっと言うとさ、僕は他人の評価にしか興味がないんだ。自分が自分をどう思うかなんてクソクラエだ。」
片目のクジャクは「クソクラエ」の時だけさらに声を小さくした。紳士なのだ。
だから僕が「クソクラエか…」とつぶやくと、彼は少し表情を硬くした。
燕尾服からはみ出した尾の羽根が乾いた地面をなでる。砂煙が舞った。
「わかるかな。良いものなんだよ。他人の目は。」
クジャクのたった一つの目が僕を見た。それはクジャクの目ではないように動いた。
僕は目だけを動かして時刻表を確認する。
片目のクジャクは燕尾服を手に入れた
|B4(barrett4)|イシムラ|09.06.22 05:30|
何もしないかわりに余計なことをする
|B4(barrett4)|イシムラ|09.06.18 18:44|
体調が思わしくないので何もしないつもりなのだ…と、
何もしないで過ごした昼間の後で宣言すると、
ハリネズミがひどくうろたえて椅子をガタガタさせた。
「何もしないってのはちょっと芸術過ぎるんじゃないか?」
急に思い出したかのように時計を見て、「あと5時間半もだぞ。」と付け足した。
彼は僕に、B4のルールの整備をすることを勧める。
あと一つ変更しなければならない重大なルールがあるし、
もっとわかりやすく修正できそうな些細なルールも2、3ある。
プリンターの近くに散らばった手書きのメモを鋭く指差して、
(彼はそれを拾い集めてくれたりはしない)
「あと5時間半もだぞ」と繰り返す。
ついに読み始めた長編小説が、実は未完の大作だったらどうしよう!
彼が心配しているのはそういうことらしい。
長編小説とはつまり「今日」だ。
言うまでもないか。
雨に濡れない公園で
|B4(barrett4)|イシムラ|09.06.16 18:17|
「ねえ、滑り台の楽しくない滑り方ってあるのかな?」
ハリネズミが何度も同じことを訪ねるのだが、
僕は仕事場からムクドリを追い出すのに手一杯だ。
ゴイサギを窓から呼び戻したかったのに雨が強い。
遊び方次第で楽しくなったりつまらなくなったりする「遊び」と、
どんな遊び方をしたって面白い「遊び」の、どちらが上等かと。
そういう質問に直面してしまうと、鳥の相手なんてしていられないから、
なるべく直面しないように身体を斜めにしてウロウロする。
しかし、まあ、直面するのは時間の問題だね。
バチンとぶつかって目がチカチカしたらそれでおしまい。
気を失ったら、滑り台のプロに話を聞きに行こう。
彼女はまだきっとあの公園にいる。
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