本当のところ、NINという人物は実在しないらしい。
一人だけ東北の地に離れて住んでいるから
東京にはめったに顔を出せないのだ、などという話は、
いかにも都合がよくて、且つ実に苦しい言い訳に聞こえる。
実体としては、
コジマ先生がナプキンの上に気まぐれに書いた1つのラクガキのような、
または、あきよ女史が作った小さなネズミに付いている尻尾に近い存在である。
あるいは、石村氏がかつて綴った物語の忘れられた登場人物だったかもしれない。
過去のプロジェクトで開発された会話ボット、すなわち人口無脳の末裔という説もあるし、
なにを隠そう、他の3人の内の誰かの、数ある人格のひとつでしかないとも伝え聞く。
遠い昔になくした友人の残像なのだ、とは誰が言っていたのだったか。
実に興味深い話であるのだが、その真実を暴く手段も、権利も、
私にはないのである。
おそらく、誰にもないのである。
では、この文章を書いているお前は誰かって?
はじめまして、NINです。
ここはまだ梅雨が明けておりません。
